「一兆ドルコーチ」を読んで / Book review "Trillion Dollar Coach"
シリコンバレーのレジェンドと呼ばれたビル・キャンベルについて書かれた一兆ドルコーチを読みました、率直に言うとチームで仕事をしている全ての人は読むべき本です。ここではその理由と共に、自分が感じたことを書いていきたいと思います。
日本人としての素質
まず本を読み終わった感想としては「ビルはとても日本人的な資質を持ち、それをアメリカという文化で発揮することで成功した」と思いました。ここでいう日本人的な素質とは
- 和を重んじる
- 相手の考えている事を表情や態度から読み取る
というものです。ビルのこの能力は英語圏での自分の考えていることは言葉にしないと伝わらないというローコンテクスト文化において非常に珍しい素質と言えます。こう書くと日本人であればアメリカ社会で成功すると思われそうですがそうではありません。ビルの以下のような素質とミックスされることで稀有なスキルとなるのです。
- 自分の考えをはっきりと伝える
- アメフトをベースにしたコーチング経験
そしてこのスキルを(本人が自覚していたかどうかは分からないですが)愛を持って全力で対応する、ということで関わる全ての人から慕われ、結果的にシリコンバレーを支えるという偉業を成し遂げたと言えます。
最高のマネジャーの条件
マネジャーとして仕事をする上で大切な事が書かれています。
人がすべてあらゆるマネジャーの最優先課題は、部下のしあわせと成功だ
仕事を進める中で部下をただの作業者としてみたことはないでしょうか。その仕事は上手くいきましたか?仮にうまく行っていたとしても短期的なものであったはずです。部下のことを本当に思うことで仕事がきちんと回ることをきちんと思い出してください。またその方法として
一つは、チームメンバーが、家庭や仕事外の興味深い生活を持つ人間同士として、お互いに知り合えるようにすること
経歴やスキル、能力以外の部分を知ろうとした
とも書いてあります。実際に会議の冒頭でアジェンダや会議の目的を話すのではなく、参加者に対して週末は何をしたのか、またはそのような内容の質問、例えば旅の報告から始めることにしていたのです。会議時間が短くなるので会議に関係ない話はタブーと思われるかもしれません。しかし結果的にスムーズに会議が進み、無駄な議論が発生せず、生産的な効果を発揮できるのです。これはいますぐに取り入れようと思いました。
心理的安全性
チームが本当に成果を出すには心理的安全性を保つ事が非常に重要です。ビルが思っていたことは
彼はこの世界を、お互いの強みと弱みを知った上で信頼し合い、協力して目標を達成しようとする人々のネットワークと見なしていた
という考えでありのままの自分をさらけだす事ができるかが生産性に直結します。
「ありのままの自分」をさらけだす人はありのままの自分でいられるとき、そして全人格をかけて仕事をするとき、最もよい仕事ができる
チーム・ファーストで考える
チームを運営している時、取り組む課題に対してどのように考えていますか?自分はその課題そのものの解決案を考えていました。しかし実際にはそうではないのです。
問題そのものより、チームに取り組む問題や機会に直面したら、最初のステップは、適切なチームを適所に置いて問題に取り組むことだ’
チームを適切に配置し、メンバーに課題を任せるのです。チームとして動くように働きかけることで結果的に上手くいくということです。この考えは自分の過去を振り返ってもそうだと思いましたし、今後は意識的に実施していこうと思いました。またペアを作って仕事をやってもらうのも重要なテクニックということを学びました。
ペアで仕事に当たる同僚同士の関係は重要なわりに見過ごされがちなので、チーム内でペアをつくってプロジェクトや決定に取り組ませる機会を設ける必要がある。
これから実践していくこと
まとめとして、今後取り入れて行こうと決めたことを書いておきます。
- 空気を読み取る → 不穏な雰囲気であれば明るくなるように行動する
- 会議は相手の仕事外のことを訪ねることから始める
- 「愛」を持って仕事に取り組み、チームを導く
日本人であればビルが行ってきた事がすっと理解できると思います。それを実践できるかどうかが大きな鍵となるでしょう。